歯がしみる

健康な歯は、神経が通っていない硬いエナメル質で覆われています。しかし、その下にある象牙質には小さな穴があり、刺激が神経に伝わりやすくなっています。
通常は刺激が加わらないものの、歯周病による歯茎の退縮や、歯ぎしりによるエナメル質の損傷で象牙質が露出し、その露出した象牙質への刺激が “知覚過敏” という症状として現れます。
知覚過敏は、むし歯や歯の神経炎症などの病変がない状態で、一時的に「歯がしみる」や「歯が痛い」と感じる症状です。これに対してむし歯は、慢性的な痛みを伴うことが多いです。

❶ 間違った歯磨き

歯磨きの力が強すぎると、歯のエナメル質が剥がれたり、歯ぐきが退縮したりすることがあります。これにより、象牙質が露出し、刺激が神経に伝わりやすくなるため、知覚過敏を引き起こす可能性があります。歯磨きの際は、適度な力で柔らかい歯ブラシを使用しましょう。
エナメル質はとても硬いので、数回強い力で歯磨きをしたからといって削れてしまうものではありませんが、毎日の積み重ねによって硬いエナメル質も傷つき、削られてしまう可能性があります。

❷ 歯磨き粉の多用

歯磨き粉には、歯の表面をきれいにする研磨剤が含まれています。
歯磨き粉を長期間過剰に使用すると、歯の表面が削られることがあります。これにより、エナメル質が薄くなり、象牙質が露出することがあります。適量の歯磨き粉を使用し、優しく磨くことが重要です。

❸ 歯ぎしり・不正咬合

歯ぎしりや不正咬合（悪い噛み合わせ）は、歯のエナメル質を削ったり割ったりすることがあります。その原因は、不安、疲労、ストレスなどが挙げられます。また、歯周組織に強い力が加わることで、支持骨が破壊されることがあり、歯周病の原因や悪化につながる可能性があるため、注意が必要です。

❹ 酸蝕症

酸性の飲み物や食べ物、または胃酸の逆流などによって、歯のエナメル質が溶かされることがあります。これにより、象牙質が露出し、知覚過敏を引き起こす可能性があります。酸性の飲み物や食べ物を摂取した後は、すぐに歯を磨かずに水で口をすすぐことが望ましいです。また、胃酸の逆流が疑われる場合は、医師に相談してください。